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zoom RSS トリウム熔融塩炉の濡れ衣

<<   作成日時 : 2005/10/09 22:54   >>

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 あるきっかけでもらった文ですが、これが本当ならすごい。
 いってしまうと、材料には腐食対策ができていて後は実機で試すしかないトリウム熔融塩炉と
いうものがあります。
 ところがインドが核実験に成功したときのPu核実験後、日本とECはNa-FRをやりたくて、トリウム熔融塩炉を政治的に潰したというのです。「Pu」と「Th」のセキュリティーは同等だと言って...


 以下は、某団体のメモです。
 著者の許可があればすぐに著者の名前はあきらかにいたします。
 ひょんな理由から入手しました。
 
(以下がその文)
ITHMSFメモ 1998 年 3月 5日
“溶融塩炉(特に容器材料)情報誤認の背景”                トリウム溶融塩国際フオーラム ** **
1. 何故、新核エネルギー技術が必要か?
来世紀前半における世界人口爆発・エネルギー使用の増大は不可避で、環境破壊・貧困・飢餓・教育低下そして騒乱を助長し、経済的なエネルギー確保と環境対策は緊急を要する。昨年12月の京都環境会議は序幕に過ぎない。世界の平和繁栄対策として、 核エネルギーの再検討が必須と考える。
しかし、過去の原子力は多くの難問を抱えている。現在の化石燃料からの脱却には、約10年の核燃料倍増時間が必要で、既提案の高速増殖炉(LMFBR)または 溶融塩増殖炉(MSBR)の様な「増殖発電炉」方式では間に合わない。それらを理想と皆が言うのは間違っている。 その外にも多くの矛盾・難問を抱えて消滅寸前であり、我々には全く新しい炉システム概念への移行が必須であろう。
我々は それらの全面解決を目指して、次の新しい三原則 を提案している:
T.ウランでなくトリウムを利用 :プルトニウム(Pu) および 超ウラン元素を作らない。資源十分。
U.固体でなく液体の溶融弗化物塩 核燃料の利用 :化学工業施設の一種として、液体利用が原則。
V.燃料増殖施設と発電炉の分離:単純な発電炉中心に、世界に展開可能な燃料増殖サイクル完成。
具体的には、燃料作りの為の加速器溶融塩増殖炉(AMSB: 1980年@@発明)、および 機能・構造が単純で燃料自給自足能力を持つ溶融塩発電炉 (FUJI)による。 苛酷事故は起きえない。
この様な構想をトリウム溶融塩核エネルギー協働システム(THORIMS-NES:Thorium Molten-SaltNuclear Energy Synergetics)と名づけた。詳細は文献(1)などを参照願いたいが、今後、このシステムで核弾頭や使用済み燃料からのPuの処理を引き受けながら、次第にU-Pu燃料サイクル時代から、円滑かつ合理的に Th−U燃料サイクル時代 へと移行できるであろう。
すでに溶融塩発電炉の基礎技術は整っており、ロシアの Inst.of Technical Physics(核弾頭開発研究所、Snezhinsk, Cheliabinsk-70、ウラル山脈東、西シベリヤ)より提案を受け、日・米・ロシア三国共同で 超小型原発 miniFUJI建設から手掛けるべく、開発実施計画を作成中である。
2.トリウム溶融塩炉一般、特に容器材料情報の混乱・不備について
このようにトリウム溶融塩炉は重要な社会的命題であるが、ここで説明を試みたいと思うのは、意外な程に間違った認識が溶融塩炉:特にORNLの成果に絡まって広がっている事である。一度広められた風評を正すのは決して容易でない。しかも無知識・誤解のみでなく、意図的なものが少なくない。それらの話題に関連する歴史的状況・論拠を列挙しておきたい:
★ Thから生まれる233Uは強力なガンマ線を随伴し、235UやPuに比べ明確に核兵器用として不向きである(米LLNLの専門家と協議済み)にも関わらず、「U−PuサイクルとTh−Uサイクルは核拡散防止に大差なし」と言う犯罪的な結論を、EC・日本などが先導して、INFCE(国際核燃料サイクル会議、1978)で取り決めた。FBR擁護の為であったが、今でもトリウムを知らない無思慮な専門家達が信じている。
★ しかもその後、核冷戦の激化で圧倒的にPuに関心が向けられ、1980年以前にTh研究は殆ど死滅した。最近の教科書には、”溶融塩炉“は勿論”Th“さえも全く現れないのが一般である。
★ その結果として、原発の話題は専らU−Pu“固体”燃料炉に限られてしまった。
★ 1965年頃には既に、溶融塩炉以外の液体燃料炉型は殆ど全て技術的な失敗が結論づけられていたので、教科書は液体燃料炉の記述を一層排除して現在に至っている。
★ 溶融塩炉研究開発は充分成功しつつあったが、内容が余りに斬新で他に類例がなく、話題に登る機会が限られていた。指導的化学工学者さえ「MSRは理論物理屋の幻想」などと、事実の正反対を”幻想“する始末[パトロンの理論炉物理指導者Dr.Alvin Weinbergの発想かと錯覚]: その一因は、TVA(テネシー渓谷総合開発)計画としてルーズベルトのNew Deal政策に取上げられた位の最僻地で開発されたからでもある。ORNLにはTVA電力依存のU濃縮秘密工場があり、接近はさらに困難であった。また、ORNL一個所のみで、信じられない位の僅かな資金と人員(最高230名)により極めて合理的に研究開発は進められ輝かしい成果を挙げていつた。しかも事故皆無だから、一般専門家を含め世界的な話題になる事が殆ど無かった。これは、実は「いかに優れた技術内容の物であったか!」の証しであるが、不運にも逆にこれが最大の”弱点“となって、殆ど社会には知られもせず逆に誤解を誘発した。
・・・ ”余りに内容が優れ、開発関係者が賢かったのが最大の「難点」“・・・と私は言いたい。
★ 従って代表的な学術書に幸い溶融塩炉に関する記事が載っても、重大な間違いが多々存在し、それが陰に陽に引用されて、どれだけ我々の努力を妨害しているか、例は枚挙に暇が無いが、ここでは三つだけ最近の経験を指摘しておきたい:
(1)歴史的に、インドはトリウム溶融塩炉の特別なシンパと看做されているが、その炉材料部長 Dr.P.Rodriguez(現インヂラ・ガンジーFBR研所長)が最も権威ある材料専門誌:Journal of Nuclear Materials,100,p.227-249(1981)に書いた“炉材料の総合解説”で、ORNL研究を1970年までしか取上げなかった。1970〜76年の間に極めて重要な進展・解決がみられたのに全く触れず、「まだ多くの材料問題が残っている。」と、その炉の実現性を否定している。私はそれを彼から1991年に贈られて知り、二度厳重に抗議したが何の反応もない。今も対抗策に苦慮している。
(2)さらに驚いた事には1997年夏、EUによる“Thサイクル研究の総合解説”が贈られてきた[EUR−17771(1997)]。所がこれはさらに悪く、ORNLの業績は1968年までの記述しかない。全く信じられない事である!(皮肉にも、私やRodriguezに謝意を表している。) 厳重に抗議したが、逃げるだけである。1968年以降にこそ、世界を変えるような前進がMSBR研究で始まった。そして1970年頃から、その何百倍の投資が世界的に為されていたFBRの牙城を揺るがせ始めたのである。
(3)三、四年前に我々も協力して纏めたIAEAのThサイクルに関する詳細な Status-Re
portがあるが、種々の妨害があるらしく未だに出版が遅延を重ねている。
出版されればTh や溶融塩炉に対する理解は大きく前進するであろうと期待しているのに、PuサイクルFB R関係者がマフィア化していると言うのは本当か、と思いたくなる実状である。
最近の経験のみをここには示したが、実は1970年代末期から散々悩まされていた事態であった。その誘因の最たるものの一つは、1970年までのORNLの成果は一般科学技術者向けの解説が、ORNLの人々により世にかなり有効に示されていたのに、それ以後は専門論文のみであり、1976年に突如発動された米国の増殖炉開発中止政策により、一般社会への紹介の機会を失ってしまったからである。 @@らが幾らMSRを解説紹介しても、世界からは「米は開発を止めてしまったでないか!」と信じて貰えなかった。[1980年の特殊な学術論文(非核拡散型MSR)の中に、最終開発成果の簡明な要約を盛り込んでくれた(文献2)。しかし一般解説ではない。] 私がDr.Weinberg以下のMSR関係者に重々要請した結果、「政府に抗議するようで書きにくいが」 と言いつつ、初代MSRプログラム・リーダーであったMacPherson教授が、“溶融塩炉アドベンチャー”と題する優れた推奨論説を書いてくれたのが1985年である(文献3)。この中で、動力試験炉建設に移行出来る技術水準に達していた事 を明言しているのは重要である。
是非一読願いたいが、これは一般的であるが技術解説でないので、私は(文献2)を論文中に必ず引用する事としつつ全ゆる機会にその必読を推奨しているが、現実に読んで貰うのは米国においてさえ困難と言わざるを得ない。なぜ、今頃この様な苦労をしなければならないのであろう。嘲笑って澄まして居て良いとはとても思えないので、悲痛である。
3.容器構造材料問題は基本的に解決している
この問題についてはORNLが基本的に問題を解決してくれている。その結論は、上記文献(2)特にP.46―87を見てほしいが、次の様に結論出来るであろう。

1.炉システムは、溶融塩以外は黒鉛と容器構造材のHastelloy N のみから構成されている。この Ni−Mo−Cr合金はTeアタックを防ぐため改良されて modified Hastelloy N と言われるが、組成は [Ni ベース、 Mo 11―13、Cr 6―8、Nb 1―2 重量%] である。

2.なおこの合金は、溶接性が良く取扱い易くて900℃位まで使用可能な良い耐熱構造材である。
(ジェットエンジンにも使われたほどであると仄聞した)

3.炉内の溶融塩は 適切な電気化学的 酸化還元電位に保たれているならば、腐食の心配はない詳細は日本語で文献(4)に解説してあるので、是非参照願いたい。 また、我々のFUJIにおける炉化学的な運転管理の概要は、文献(5)の具体的解説評価から理解願えるであろう。
これらの結論は、ソ連Kurchatov研究所の研究によっても確認されている[文献(6)]。

このメモでは、溶融塩炉における容器材料腐食問題を単純化している基本条件のみを要約しよう:
(ア) 高中性子照射・高熱流速にさらされる炉心領域には、金属材料は置いてない。また、薄肉脆弱な燃料被覆管などは全く無い。
(イ) 装荷前の塩の脱水に十分気をつければ、その後の高温の中性に保たれた塩は実際上吸湿性を持たず管理が容易であることが、実験炉MSRE(ORNL)4年間の運転で実証された。。
(ウ) 核分裂生成物濃度は一般に十分希薄であるが、それらの腐食現象は、これらの塩が典型的なイオン性液体であるが故に電気化学的理論でよく解明されているのみでなく、ループ試験、実験炉MSRE での優れた運転実績で保証されている[文献(5)参照]。
(エ) 補足解説すると、一般に水溶液の場合には耐蝕皮膜で守ろうとしているので、理論的評価は未だに極めて困難である。しかしこの場合には、不安定な皮膜などに頼っていない。熱化学的・電気化学的な理論評価が充分可能であり、それに導かれて開発された [従って、事実として僅かの資金・人員で済んだ――試行錯誤的手法は不要――]。この実績が保証するように、今後もし新事実・新問題が発見されても原因究明・対応策発見は容易であろう。大変な利点である。
(オ) なお、水蒸気発生器の水側腐食については、Ni合金であるので応力腐食などの心配はない。
この様な好条件下にあるが、今後に残された唯一の課題は、早急に 「miniFUJI炉などの運転によって炉寿命の間の健全性が、最優先かつ実際的に証明することのみ」 と考えている。

4.今後の対策は?
1996年春に、電力中央研究所(担当:服部禎男理事)より「溶融塩炉の構造材料については、古川の意見と社会一般の認識との間には余りにギャップがある。話し合いの機会を作りましょう。」との提案を受け、8月30日に電中研で、通産・原研・動燃・電力関係者に集まってもらい、
“トリウム熔融塩炉の構造材料に関する講演会”
[講師:@@、@@(東工大)、@@(三菱マテリアル)]を開催して頂いた。貴重な機会に感謝している。
しかし、どれだけ誤解を改善出来たかは疑問である。まず、(A)まだ、今表立って厳しく評価決着を付けたいとは考えて居なかったようである。また、(B)日本人特有の意見無表明で空回りの他、時間不足であった。その前に、(C)やはり「材料問題は一般非専門家には余りに高度の技術問題(理屈では納まらないもの)であり、この場合は更に高度の包括的炉化学問題(長期の運転保守モードと関連)」であって非常に奥行きのある専門的話題である。 従って、炉本体に始まり運転保守モードの実態までを、文献(5、2)などによりかなり詳しく解かってもらわねばならず、即物的な解説では理解されない事を痛感した。
具体的に言うならば、本質的に新思想の炉型であるから、現在の水準では最低5―10時間の包括的な解説討議が必須と言う事であろう。これが、国内で11回連続の研究会、及び韓国原子力研究所での約8時間の講演討議などの最近の経験に基づく、強烈な実感からの結論である。
(参考文献)
1) **:”来世紀環境対策と核エネルギー:トリウム溶融塩核エネルギー協働システム”,エネルギー・資源、17(4)332(1996);古川:「エネルギー・資源ハンドブック」エネルギー・資源学会編 、オーム社(1996)P.654〜659.
2) J.R.Engel,W.R.Grimes,H.F.Bauman,H.E.McCoy,J.F.Dearing,W.E.Rhoades, "Concep.Design Charac.of Denatured MSBR with Once-through Fueling", ORNL/TM-7207,156PP.(1980) [特に P.46〜96].
3) H.G.MacPherson:”Molten-Salt Reactor Adventure“、Nucl.Sci.Eng.,90,374(1985).
4) **:”熔融塩炉と構造材料(上)”、原子力工業、 32(9)59―64(1986);(下) 32(12)53―59(1986)[参照:**、沼田 博雄:防食技術、29、185(1980)]
5) ****、三田地 紘史、加藤 義夫:科研費報告“小型熔融塩炉の炉化学および新構想”(1989);.
**:“来世紀の核エネルギーシステム(10)小型トリウム熔融塩発電炉と安全性“,原子力工業,38、(5)69(1992); [38(3)71(1992)も参照の事].
6) V.Ignatyev, V.M.Novikov, A.I.Surenkov, V.I.Fedulov: IAE−5678/11(1993)Russian Research Center “Kurchatov Institute”.

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